ウクライナの大富豪、キエフの石油会社本社を武装占拠

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ウクライナの最大の大富豪(オリガルヒ)であり現在ドニプロペトロウシク州知事を務めるイーゴリ・コロモイスキー氏が22日夜、キエフにある同国最大の石油会社「ウクルナフタ」の本社を自身の武装警備員を使い事実上占拠した

「ウクルナフタ(Ukrnafta)」はウクライナ最大の石油・ガス企業であり、コロモイスキー氏が株式の42%を所有しているが、株式の半数弱はウクライナ政府が保有している。現在国会にてこの会社の株式比率に関する法律が審議されているが、これによりウクルナフタへの影響力を失うことを恐れるコロモイスキー氏が自らの権益を守るため動いたものとみられる。

キエフにあるウクルナフタ本社は22日夜に武装した迷彩服の男達が押し寄せ、鉄格子を立てるなどして建物を封鎖した。現場に訪れたコロモイスキー氏と、ウクライナの国会議員との間で口論があったが、その中でコロモイスキー氏はこの措置を単なる警備の強化であり、武装員は民間警備員であると述べている。メディアによる報道によると、23日の月曜日を迎えたウクルナフタ本社では、警備が強化された中で通常通りの業務が行われているとのこと。

また、この数日前には同じくコロモイスキー氏の武装警備員が石油輸送企業「ウクルトランスナフタ(Ukrtransnafta)」のオフィスを占拠していた。これらの騒動を受け、ウクライナ国内ではコロモイスキー氏に対する非難の声があがっている。ポロシェンコ大統領はウクルナフタ社の武装警備員に対して、武装解除するよう命令を下した

イーゴリ・コロモイスキー(Ihor Kolomoyskyi)氏はウクライナ中部の工業都市ドニプロペトロウシク出身の52歳。ソ連崩壊後のウクライナにて急速に資産を伸ばし、同氏が率いるプリヴァット(Privat)・グループはウクライナの石油・金属・農業・金融・メディアなどの各分野にて大きな成功を収めている。ウクライナ最大の銀行であるプリヴァット銀行も同グループの一員であり、またコロモイスキー氏はサッカーのウクライナ・プレミアリーグに所属するFCドニプロのオーナーでもある。同氏の資産はフォーブスなどの報道によると、約50億ドルほどと見積もられており、ウクライナ最大のオリガルヒ(大富豪)の一人として数えられている。

コロモイスキー氏は、昨年のウクライナ政変後に政府により指名され、2014年3月よりドニプロペトロウシク州の知事を務めている。また、ウクライナ東部紛争の中で分離主義者に対する厳しい姿勢で知られており、ロシアに対抗するために戦闘部隊Azov(後にウクライナ内務省傘下に)に対して資金援助を行っている。ウクライナ政変後、ウクライナのオリガルヒの多くが没落していく中、州知事も務めるコロモイスキー氏は経済的にも政治的にも同国においてその存在感を増している。

コロモイスキー氏はウクライナの経済および政治における一大勢力であるドニプロペトロウシク閥の主要人物として知られている。ドニプロペトロウシク出身の政治家としては、ウクライナの第2代大統領であるレオニード・クチマ氏や、ユーリア・ティモシェンコ元首相、昨年に臨時大統領を務めたオレクサンドル・トゥルチノフ氏などが知られている。コロモイスキー氏の影響力はウクライナの国会にも強く及んでおり、子飼いの議員が多数存在するものと見られている。

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追記:2015年3月24日3:16

ウクライナメディアの報道によると、この度のコロモイスキー氏へのウクライナ政府の方針に抗議して、ドニプロペトロウシク州選出の国会議員4名が、自身が所属する政党である「ペトロ・ポロシェンコ・ブロック」から離党することを表明したとのこと。