ウクライナの政党支持率に関する世論調査が発表

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今月行われた世論調査の結果が発表され、ヤツェニュク首相の支持率が急減していることがわかった。

世論調査はRazumkov Centreにより2015年3月6日から12日にかけてロシアの占領下にあるクリミア全土およびドネツク・ルハンスク両州を除くウクライナ全土で行われ、18歳以上のウクライナ人2009人から回答を得た。

これによると、もし選挙が今行われたとしたらどの政党に投票するかとの設問に対し、大統領率いる「ペトロ・ポロシェンコ・ブロック」に投票すると答えた人は14.1%。続いてウクライナ西部の大都市リヴィフ市の市長であるサドヴィー氏率いる「サモポーミチ」が9.3%。親ロシア派の政党である「野党ブロック」が6.8%。ヤツェニュク首相率いる「人民戦線」が4.6%。過激な言動で知られるリャシュコ氏率いる「急進党」が4.5%。ティモシェンコ元首相率いる「祖国」は4.4%。「ウクライナ共産党」が3.1%。「Civil Position」が2.7%。比較的ロシア寄りのTihipko氏率いる「Strong Ukraine」が2%。ウクライナの民族主義者率いる「スヴォボーダ」が1.8%となっている。

また、4.6%の人が別の政党に投票すると答え、2.3%は白紙投票すると答えている。さらに22.1%の人が選挙に行かないと答え、17.7%の人はどの政党に投票すればいいかわからないとしている。

ウクライナ国会の活動を支持するかとの設問に対しては、支持すると答えた人は3.9%、部分的に支持すると答えた人は32.6%、支持しない人は56.5%となっている。

現在の内閣の活動を支持するかとの設問に対しては、支持すると答えた人は4.5%、部分的に支持する人は31.4%、支持しない人は56.8%。

ヤツェニュク首相に関する設問では、ヤツェニュク首相を支持する人は7.8%、部分的に支持する人は29.3%、支持しない人は56.7%。

ウクライナ国立銀行の政策に関する設問では、支持すると答えた人は1.9%、部分的に支持する人は10.5%、支持しない人は77.3%にのぼっている。

また、ウクライナ国民の間で最も信頼できる国家機関または組織・団体はどこかとの設問に対しては(複数回答あり)、「教会」と答えた人が66.2%と最も多く、続いて「軍」が60.9%、「親衛隊」が56.7%、マスコミが50.2%、市民組織が45.7%となっている。

ウクライナの政治家または政治活動家の中での信頼・不信頼の割合に関する設問においては、ポロシェンコ大統領を45.1%のウクライナ人が信頼している(不信頼は46.8%)。続いて、リヴィフ市長で「サモポーミチ」の党首であるアンドリィ・サドヴィー(Andriy Sadovyi)氏は38.9%の信頼を得ている(不信頼は35%)。ヤツェニュク首相を信頼する人は31%(不信頼は62.9%)。また、ウクライナ国立銀行のホンタレワ総裁は81.8%のウクライナ人が信頼しておらず、信頼する人はわずか5%にとどまっている。

【解説】
上記10政党の内、親ロシア派の政党は「野党ブロック」「共産党」「Strong Ukraine」の3政党のみであり、依然としてロシアとの関係強化を考えるウクライナ人は少数派にとどまっていることがうかがえる。

去年10月の国会議員選挙からの大きな変化は、ヤツェニュク首相およびその所属政党への支持率が急減していることが挙げられる。ヤツェニュク首相率いる「人民戦線」は、国会議員選挙の比例得票率ではトップの22.1%を獲得していたが、今回の調査ではわずか4.5%の支持率にとどまっている。この原因は、ウクライナ政変後の経済危機を内閣がコントロールできていないためとみられ、同様にウクライナ国立銀行総裁を国民の8割以上が信頼してないことに見て取れる。現在、ウクライナの通過フリヴニャはウクライナ政変前と比べ3倍もの通貨下落に見舞われているのに対し、政府は有効な手立てが打てず、さらには公務員や教師をはじめとする国民の所得は政変前とほぼ変わっておらず、このことに対する反発が今回の調査にも現れているといえそうだ。

ポロシェンコ大統領への支持は、去年と比べると減少しているものの、依然として国民の半数からの支持を得ており、国民の批判は主にヤツェニュク首相やウクライナの国会議員などに向かっているようだ。

また、この調査の中でポロシェンコ大統領の政党に次ぐ支持を集めている「サモポーミチ」は昨年に続いてウクライナ人の大きな注目を集めている。昨年10月の国会議員選挙では、選挙前はほぼ無名の政党であった「サモポーミチ」が結果として比例得票数で第3位となる約11%を集め、驚きをもって迎えられた。今年もその勢いは続いており、党首のサドヴィー氏は現在最も注目の政治家と言えるだろう。ヨーロッパ志向の政治家であり、ウクライナ西部の大都市リヴィフを経済発展させたサドヴィー氏の手腕に対する期待が、ウクライナ人の中で高まっているといえる。

2014年10月の国会議員選挙の比例代表得票率と、今回の世論調査での支持率との比較
「人民戦線」 22.1% – 4.6%
「ポロシェンコ・ブロック」 21.8% – 14.1%
「サモポーミチ」 10.9% – 9.3%
「野党ブロック」 9.4% – 6.8%
「急進党」 7.4% – 4.5%
「祖国」 5.6% – 4.4%
(ここまでが比例代表において議席が配分される得票率5%を上回った政党)
「スヴァボーダ」 4.7% – 1.8%
「共産党」 3.8% – 3.1%
「Strong Ukraine」 3.1% – 2%
「Civil Position」 3.1% – 2.7%