ウクライナの最上位のプロサッカーリーグであるプレミアリーグ(Прем’єр-ліга)に2017年現在所属する12チームに関してをまとめてみました。
Contents
- 1 ウクライナ・プレミアリーグとは
- 2 2016-17シーズンからの新しいフォーマット
- 3 FCディナモ・キエフ (ФК «Динамо» Київ)
- 4 FCシャフタール・ドネツク (ФК «Шахтар» Донецьк)
- 5 FCゾリャ・ルハンシク(ФК «Зоря» Луганськ)
- 6 FCオリンピク・ドネツク (ФК «Олімпік» Донецьк)
- 7 FCヴォルスクラ・ポルタヴァ (ФК «Ворскла» Полтава)
- 8 FCスタル・カーミヤンシケ (ФК «Сталь» Кам’янське)
- 9 FCオレクサンドリーヤ (ФК «Олександрія»)
- 10 FCチョルノモレツ・オデッサ (ФК «Чорноморець» Одеса)
- 11 FCカルパティ・リヴィウ (ФК «Карпати» Львів)
- 12 FCマリウポリ (ФК «Маріуполь»)
- 13 NKヴェレス・リウネ (НК Верес Рівне)
- 14 その他のチーム
- 15 最後に
ウクライナ・プレミアリーグとは
ウクライナのプロサッカーリーグの最高位に位置するのがプレミアリーグ(Прем’єр-ліга)であり、2017-2018シーズンは12チームで争われます。
ソ連崩壊後の1992年にヴィーシチャ・リーハ(Вища Ліга)として創設され、2008年にプレミアリーグへと改名。
第1回目のシーズンは1992年3月6日から1992年6月21日までと短縮日程で行われ、クリミアを本拠地とするタフリヤ・シンフェロポリが初代王者に輝きました。
その後、1992-93のシーズンから2016-17のシーズンまで、優勝したのはディナモ・キエフとシャフタール・ドネツクの2チームのみであり、圧倒的な力を持つこの2チームが牽引するリーグとなっています。
UEFAが主催するクラブの国際大会の成績に基づいて決まるUEFAランキングでは、2016-17シーズン終了時点において、ウクライナのプレミアリーグはポルトガルのプリメイラ・リーガに次ぐ8位の位置につけています。
近年の国際大会での好成績としては、2008-09シーズンのシャフタール・ドネツクによるUEFAカップ優勝、2014-15シーズンのFCドニプロによるヨーロッパリーグ準優勝、2015-16シーズンのディナモ・キエフによるチャンピオンズリーグのベスト16進出などが挙げられます。
2016-17シーズンからの新しいフォーマット
プレミアリーグでは2016-17シーズンから新しいリーグの対戦フォーマットが導入されました。
第1ラウンド
全12チームがホーム&アウェイ2回戦総当たり形式で試合を行います(各チーム合計22試合)。
第2ラウンド
第1ラウンドの成績に基づき上位6チームにより構成されるグループと、下位6チームにより構成されるグループに分けられ、ホーム&アフェイ2回戦総当たり形式で試合を行います(各チーム合計10試合)。
この際、第1ラウンドで獲得した勝ち点などの成績はそのまま引き継がれます。
上位6チームのグループにて1位となったチームが、プレミアリーグ年間王者となり、自動的にUEFAチャンピオンズリーグへの出場権を獲得します。2位~5位までのチームがチャンピオンズリーグまたはヨーロッパリーグへの出場権を獲得します(UEFAランキングによってその条件は変動)。
下位6チームのグループで5位と6位になったチームが、1個下のペールシャ・リーハ(Перша ліга)に自動降格となります。
この新しいフォーマットは、近年プレミアリーグの上位チームと下位チームの実力差が大きく広がっていることを背景に導入されました。
では次からは2017-18シーズンにプレミアリーグに在籍している全12チームを個別に見ていきましょう。
FCディナモ・キエフ (ФК «Динамо» Київ)
ウクライナ・プレミアリーグにおいて1992-93シーズンから2000-01シーズンにかけて9連覇を達成。現在までに15回のリーグ最多優勝を誇る、首都キエフが誇るウクライナ一の名門クラブです。
クラブの創設は1927年であり、その後旧ソ連リーグに参加しました。同リーグでは1961年の初優勝以降、1990年までで計13回の優勝を果たしており、これはリーグ最多の優勝記録です。モスクワを本拠地とするチームが圧倒的な力を持っていたソ連リーグの中で、唯一それに対抗できたチームであり、その当時はソ連の構成共和国であったウクライナの民族の誇りを一身に背負った存在でした。
ヴァレリー・ロバノフスキー監督により率いられた1973年から1990年はチーム黄金時代とみなされます。この当時、ロバノフスキー氏はディナモ・キエフの監督のみならず、ソ連の監督も率いており、ソ連代表のほとんどをディナモ・キエフの選手が占める時期もありました。
日本のサッカーファンにも知名度のあるアンドリー・シェフチェンコは、1994年から1999年にかけてディナモに所属していました。ここでも活躍が認められ、イタリアのミランに移籍した彼は後に2004年にバロンドールを獲得しています。
キエフにある70050人収容の東欧随一の巨大スタジアムであるオリンピスキ・スタジアム(Олімпійський)が本拠地です。
オリンピスキ・スタジアムでは2018年5月26日にUEFAチャンピオンズリーグの決勝が開催予定です。
参考:UEFAチャンピオンズリーグ2017-18決勝のチケットの購入方法は?
FCシャフタール・ドネツク (ФК «Шахтар» Донецьк)
プレミアリーグにてディナモに続いて10回の優勝を誇る強豪チームです。1996-97シーズンから最新のシーズンにかけて、常に2位以上をキープしており、絶対の安定感をほこります。
ウクライナ東部のドネツクをホームとし、ロシア語話者が多いことから「シャフチョール」(Шахтёр)の呼称も一般的です。
2013-2014年シーズンの途中からはドネツクが親ロシア派武装勢力の支配領域になってしまったため、ホームスタジアムであるドンバス・アリーナ(Донбасс Арена)を使用することができず、リヴィウのスタジアムを臨時のホームとしていました。2017年からはハルキウのメタリスト・スタジアムを臨時ホームとしています。
ウクライナ随一の大富豪リナト・アフメトフ氏がオーナーを務めるチームであることでも有名で、その資金力を背景に海外からも(特にブラジルから)有力選手を集めています。
2009年にはウクライナのチームとして初めてUEFAカップ(現在のヨーロッパリーグ)優勝を果たしました。
FCゾリャ・ルハンシク(ФК «Зоря» Луганськ)
ウクライナ東部のルハンシクを本拠地とするチームです。2014-15シーズンから、4位→4位→3位と近年好成績を収めています。
ソ連リーグにて優勝経験のあるウクライナの3チームのうちの1つであり、1972年に優勝をかざっています。
2014-15シーズンには、1973-74シーズン以来の国際大会出場(UEFAヨーロッパリーグ)を果たしています。
ロシアとの紛争以降、ホームスタジアムであるアヴァンハルド・スタジアム(Авангард)が使えないため、現在は一時的にザポリージャにあるスタジアムをホームとして使用しています。
チーム名の「ゾリャ」とはウクライナ語で、日が昇る時(または沈む時)に空に広がる光のことであり、エンブレムにもその意匠が取り入れられています。日本の旭日旗に似てますね。
FCオリンピク・ドネツク (ФК «Олімпік» Донецьк)
ドネツクを本拠地とするチームです。
このチームもドネツクのホームスタジアムが使えないため、現在はキエフにあるディナモ・スタジアム(ディナモ・キエフのサブスタジアム)を借りて試合を行っている状況です。
2001年創設の歴史の浅いチームですが、このチームの創設者であり現在もオーナーを務めるヴラディスラウ・ヘールジン (Владислав Гельзін) 氏は、なんと2016年までチームの選手(フィールドプレイヤー)でもありました。
自分でチームを作って、そのチームでサッカー選手になるって凄い。。。日本のプロ野球で選手兼任監督がありますが、その上を行く選手兼任オーナーという偉業を達成しています。
チーム名は、ヘールジン氏が大学で「オリンピックとプロスポーツ」を専門に勉強していたことと、その後彼が創設した「オリンピック」という名前の基金に由来します。
Youtubeにあるヘールジン氏のプレイ映像。確かに試合に出てるし、ゴールも決めてます。
FCヴォルスクラ・ポルタヴァ (ФК «Ворскла» Полтава)
ポルタヴァを本拠地とするチーム。プレミアリーグ開設時は、2部リーグ所属でしたが、1996-97シーズンにプレミアリーグに昇格すると、それ以降は一度も降格を経験していません。
国際大会にはコンスタントに出場していますが、2011-12のヨーロッパリーグにてグループステージまで進出したのが最高成績です。
2003年から2005年にかけてはヴォルスクラ・ナフタガス (Ворскла-Нафтогаз) とのチーム名であり、国営企業であるナフタガス社の名前を付けていました。
FCスタル・カーミヤンシケ (ФК «Сталь» Кам’янське)
ウクライナ中部の工業都市であるカーミヤンシケを本拠地とするチーム。
カーミヤンシケは、2016年にドニプロゼルジーンシクから国会の議決により改名されたものの、チームの公式サイトではいまだに大きな文字でFCスタル・ドニプロゼルジーンシク (ФК «Сталь» Дніпродзержинськ)の文字が。
http://fcstal.com.ua/ua/ より
FCオレクサンドリーヤ (ФК «Олександрія»)
ウクライナ中部のオレクサンドリーヤを本拠地とするチーム。
オレクサンドリーヤは人口が約10万人と、プレミアリーグの他のチームの本拠地と比べて、小規模な都市ではありますが、プレミアリーグで奮闘しています。
現在プレミアリーグに所属する12チームのうち、チーム名に愛称がついていない2チームのうちの1つです。
長い間、下部リーグに所属していた期間も長いですが、ここ2シーズンはプレミアリーグ所属です。
FCチョルノモレツ・オデッサ (ФК «Чорноморець» Одеса)
ウクライナ南部の港湾都市であるオデッサを本拠地とするチーム。チェルノモレツの名前でも知られています。チェルノモレツとは「黒海艦隊の水兵」の意味。
オデッサという人口100万人を抱える大都市をホームとしていますが、1991年以降下部リーグへの降格を3回経験。最高成績は2005-06シーズンの3位。
FKジルカ・クロプィウヌィーツィクィイ (ФК «Зірка» Кропивницький)
クロプィウヌィーツィクィイを本拠地とするプロサッカークラブ。
赤い星を意味する「チェルヴォーナ・ジルカ」という名前の工場が名前の由来。1991年以降、下部リーグに所属していた期間がプレミアリーグに所属している期間よりも長くなっています。
FCカルパティ・リヴィウ (ФК «Карпати» Львів)
約3万5千人を収容できるアリーナ・リヴィウ (Арена Львів) をメインスタジアムとしています。2011年に完成し、EURO2012の試合会場として使用されました。
「カルパティ」は西ウクライナにあるカルパチア山脈のウクライナ語読みです。
ソ連の3部リーグに所属していた1969年に、ソ連カップにて優勝にかがやいており、これはソ連の1部リーグ以外に所属するチームが優勝した唯一の例となっています。
2004-06に下部リーグに降格していた期間を除き、ウクライナ独立以降は1部リーグであるプレミアリーグに常に所属しています。
FCマリウポリ (ФК «Маріуполь»)
ウクライナ東部のマリウポリを本拠地とするチーム。2017年まではFCイリチヴェツ・マリウポリとの名前でした。
2016-17に2部リーグで優勝し、2017-18シーズンはプレミアリーグ所属となります。
2004-05にはクラブ史上初のヨーロッパリーグへの参加を果たしています。
NKヴェレス・リウネ (НК Верес Рівне)
1992年から1994-95シーズンまではプレミアリーグに所属していたものの、その後は長い下部リーグ暮らしが続き、2011年にはクラブが解散。
しかしながら、2015年にクラブが復活し、2017年からはプレミアリーグ所属となりました。
その他のチーム
ウクライナのサッカークラブでは財政難で解散に追い込まれるチームが多くあります。FCメタリスト・ハルキウ、FCメタルルフ・ドネツィクなどの国際大会への豊富な参加経験のあるチームが近年解散しました。
また、プレミアリーグ初代王者のタフリヤ・シンフェロポリなどのクリミアのチームも、2014年のクリミア危機で解散に追い込まれました。
FCドニプロ (ФК Дніпро)
ウクライナ中部の100万都市であるドニプロ(旧:ドニプロペトロウシク)を本拠地とするチーム。
ソ連リーグで優勝経験のあるウクライナの3チームのうちの1つです。2013-14シーズンではプレミアリーグでディナモ・キエフを抑え、シャフタール・ドネツクに次ぐ2位に入り、また、2014-15シーズンではヨーロッパリーグで準優勝と、大活躍したチームでした。
しかしながらその後、以前監督を務めた人物への給料の未払いなどのクラブの財政問題が表面化。このことでFIFAから制裁を受け2017-18シーズンは一気に3部リーグまで降格しました。
最後に
今回はウクライナのプレミアリーグに参加するクラブに関してをまとめてみました。もしこの記事が気に入ったら、ぜひ「いいね!」またはシェアをよろしくお願いいたします。